ハンガー事件 1999年2月7日 



 この事件はフォルパパとフォルママが1番最初にショックを受けた事件で、フォルツァが我が家に来て3日目の夜に起きてしまった出来事だった。

 この日、フォルママは夜遅い時間にもかかわらずコンビニエンスストアーに行っていて家を空けていた。もちろんフォルツァはまだ1人でお留守番できるはずもなく、フォルパパと一緒にリビングでまったりと過ごしていた。
 10分程して帰ってくるとフォルパパがあわてて「今、大変だったんだよ!」と、玄関先でフォルママにかけよってこう言った。その表情からすぐに「きっとフォルツァがなにかしたんだ!」とピーンときた(大変なことしそうな人は彼だけだし)。「どうしたの?」と聞くと、フォルパパが目を離したすきに、おとなしくしていると思いきや、クリーニング屋さんの「はりがねハンガー」のかける部分をカジカジしていたらしく、口の中の上の部分に刺さって取れなくなってしまった(魚釣りの様な状態)という話だった。後で分かったことだけど、実際には刺さっていなくって、自分で口の中からハンガーが取れなくなりフォルツァがキャンキャンではなくて「アーアー」とおおなきしてパニクったらしい。それを見たフォルパパもさらにパニクって、ハンガーが刺さって取れなくなったとすっかり思い込みフォルツァを押さえつけて口の中から取り出したということだった。

 フォルママはすぐにフォルツァをだっこして「大丈夫だヨ、大丈夫だヨと」となだめたけど、10分おきに(よくもまあこんなにちっちゃい体から大きな声がでると思うくらいの)大声で「アーアー」とないていた。 口の中を見ても傷も見当たらないし、血が出ている様子もない。「どうしよう?もうこんなに遅い時間だし・・・。」大急ぎで急患で診察している病院を見つけ、寒い雪の中、車で病院に連れて行くことにした。

 病院に到着して先生に状況を説明。口の中を診てもらった。しばらくすると先生は「ふーむふむ。なーんにもなってませんよ。傷もないし。この子ちょっと大げさです。」平常心を欠いていたフォルパパとフォルママは、先生の「この子ちょっと大げさ」というそんな言葉すら気にとめることもなかった。「あーよかったー。何でもなくって。」フォルパパとフォルママは、ホッと胸をなで下ろした。

 だけど、ここからが大変だった。家に帰ってだっこしていると、思い出したかの様にさっきの「アーアー」という大声でなきだした。(まずい、こんな夜中におおなきして・・・)「なんでもないって・・・」フォルママが背中をさすっても、ないてはやみの繰り返し。「いったい何なの?先生はなんでもないって言ってたし。どうしよう・・・?」。フォルパパと相談してだっこをするのをやめてフォルツァを好きな様にさせてあげることにした。すると、フォルツアは自分のケージに向かってゆっくりと歩き出した。黙ってその姿を見ていると、振り返ってフォルパパとフォルママをすごーくイヤな顔で見ていた。この顔はいまだに忘れられないけど、あれは完全におこっている顔。「なんであんなとこに、ぼくを連れて行ったんだ。押さえつけられてすごくイヤだったんだゾ」と言わんばかりの顔だった。そしてすーっとケージに入ってしまった。フォルパパとフォルママはすごくショックだった。フォルツァとのよい関係が出来る前に、彼に不信感を与えてしまったから。フォルママはその夜、ちょっと涙した。(フォルパパいわく、鬼の目にも涙・・・?)ベッドの中で「どうしよう」と考えるとなかなか寝付くことができなかった。

 何時間か経って多分明け方近くだったと思うけど、開けっ放しにしていたケージからフォルツァがゴソゴソと出てくる音がした。フォルママは「パパ、フォルツァが起きてきて寝室に入ってきたよ。」と言うとフォルパパは「そのままそっとしておいたら。」という返事。それでもやっぱり気になって仕方がない。フォルママはうす目を開けて見てみると、ベッドのすぐ横にフォルツァが来ている。せっかくここまできているのに何もしないではいられなくなって、布団の中からそっと片手を出してみた。すると、フォルツァの方から体をスリスリしてきてくれた。「きっと、もう大丈夫!」と思ったフォルママは、「一緒にねんねんしようね。」と言ってフォルツァをベッドにいれてあげた。「さっきはフォルツァが病院をこわかったってことを分かってあげられなくってごめんね」と言う気持ちでいっぱいだった。そして翌日からは思い出しなきの「アーアー」もなくなっていた。

 でもこの事件でとっても考えさせられてしまった。人間にとって病院の診察は「なんでもないですよ」と先生に言われることで安心が得られるけど、ワンにとってはたいしたことではないのに病院に連れて行かれたことは、ただ押さえつけられてこわい思いをしたショックな出来事なんだってこと。そうかといって本当はすごく具合が悪いのにもう少し様子をみようかしら?なんて思って手遅れだったら・・・?いつ病院に連れて行くのか、それとももう少し様子をみるのかということを家族が的確に判断してあげないといけないんだっていうことを・・・。 
 こんなんで、フォルパパとフォルママはお父さんお母さんがつとまるのでしょうか?ちょっぴり心配になりました?今度、フォルツァに会ったらこっそりと聞いてみてください。彼はなんて答えてくれるのでしょうか・・・?



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