「フォルツァ」が我が家にやってきた 1999年2月4日


 
 札幌は朝から大雪。こんな日に本当に飛行機が飛ぶのかしら?と心配しつつ、フォルママは電車に乗って千歳空港までフォルツァを迎えに行った。当初車で迎えに行く予定だったが、あまりの吹雪に電車へ変更。彼も初めての長旅で疲れているだろうから、帰りは札幌までタクシーにしようと決めていた。帰ったらフォルパパに「俺でも千歳からタクシーで帰ったことないゾ!」と言われそうだけれど、プリンスはやっぱりこのくらいの待遇でなくっちゃ!

 期待で胸ふくらませ、様々な想いをめぐらせている間に予定時刻よりかなり早く到着してしまった。早く子犬を引き渡して欲しくって、JALの人をせかせて「着いたらすぐにお願いします!」って何度も念押ししたっけ。「はいどうぞ」とケージを渡されたけれど中がよく見えない。泣き声も聞こえないし、ちゃーんと無事にしているのか心配で、その場で開けさせてもらった。すると寒さで震えている子犬。「うわー!かわいいー!」フォルママはあまりのかわいさで胸がキュンキュンしてしまった。平日のためフォルパパと2人で迎えにこれなかったのは残念だけれど、ひとあし先にフォルママはご対面できた嬉しさでいっぱいだった。早くこのかわいさをフォルパパにも伝えたい!ケド仕事中に連絡するのはナ!?そんなことより早く連れ帰って、暖かい所でゆっくり休ませてあげなくっちゃ。もう少しがまんしていてね。フォルママは大急ぎでタクシーに乗った。

 運転手さんに「長旅で子犬が疲れているので、毛布にくるんで膝の上にだっこしていてもいいですか?」と断ると快くOKしてくれた。運転手さんは運転中、何度も振り返り「かわいいね。かわいいね。」と言っていたけれど、フォルママは後ろを振り返って運転していることの方が心配で、なんだかとっても疲れてしまった。その間フォルツァは一言もなくこと無く静かに眠っていた。本当にいい子なの?単に疲れているだけなの?

 ようやく自宅に到着。膝の上であんなにおとなしいのだから、自宅に着いてもきっとドキドキしていてあちらこちら動き回らないんじゃないかしら?とフォルママは勝手に思い込んでいた。しかしその予想は全くの大外れ!そっと床に放したとたん、リビングをビュンビュン走り回り大騒ぎ!「うわー。さっきおとなしかったのは単にお疲れだっただけなのね。ねこっかぶりしていたの?ワンなのに!」いつまでビュンビュン走り続けるつもりなのかしら?でも元気な証拠、窮屈な思いをしてこんな遠いところまで来てくれたのだから、しばらく自由にさせてあげよう。フォルツァは走り回ってはフォルママの手をカミカミカミカミ。その繰り返しだった。結構、痛くカミカミするのね。これがしつけの本に書いてあった「あまがみ」というのかしら?

 我が家では、フォルツァが来る前に準備万端。何から何まで用意したうえに、フォルママはしつけの本を図書館で5冊熟読し自分で3冊も購入していた。フォルパパには「そんな本の通りにはならないよ。」と言われていたけれど、マニュアル世代の典型はなかなか拭い去ることが出来ないとフォルママは自分でも思っていた。 
 さてフォルツァがマニュアル本どおりになるか(なるはずもない!)は、機会があればふれることにして、そうそうフォルパパとのご対面を書かなくっちゃいけなかったんだ。

 フォルパパは、転勤族で結構お堅い仕事をしている。この不景気で新入社員がなかなか入ってこないため、以外に長い社歴のわりに後輩がいたためしがなかった。そのせいか毎日帰宅時間が遅く、ましてやフォルツァを迎えに行くためにお休みを取ることなんてとうてい不可能だった。そんなフォルパパもこの日ばかりは別。めずらしく早い帰宅。扉を開けたとたん「うわ。かわいっ。ちっちゃーい!」と大喜び!自分の結婚式でもあんなにおおはしゃぎしていなかったんじゃないかしら?あの時のフォルパパの顔が昨日のことの様に思い出される。この日の夜は、フォルママが1日迎えに行った時のことを事細かにフォルパパに話してあっという間に時間が過ぎてしまった。フォルパパは「長旅で疲れただろう。今日からフォルツァはうちの子だよ。よろしくね。」と、ねむねむ顔のフォルツァにそっと言いながらケージに連れて行った。

ああーようやく、無事に子犬を迎え入れることができた。本当にひと安心。この日からフォルパパとフォルママの楽しい子育てがスタートしたのです。



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